夜道になれば当麻町、 御手明町の隙をみて
畳表は融通寺町、 新丁越えて横丁の
北に見ゆるは半兵衛町、泊りを急ぐ烏橋
御旗町から柳原、 片原町をうち過ぎて
草履の切るる河原町、 松坂柱細目まで
積み重ねたる材木町、 柳堤より日光へ
急ぎ申し候 あなかしこ(完)
上り下りの諸荷物を、 競いつけ込む馬喰町
地乗り駆け乗り馬場町や、緞子縮緬一之町
甲賀町より二之町の、 三,四之竪や五之町の
角より見ゆる札の辻、 火の見櫓も大町の
道場小路がちと過ぎて、 虫のいた寝も原の町
針谷町にて顔の色、 少しはなおる赤井町
遊び過ごして七日町、 踊り浴衣も紺屋町
暑さをしのぐ北小路、 たびもならわぬ名子屋町
お前と俺の仲町を、 老町主の案内で
大和町より桂林寺、 町の南は諏方四ツ谷(以下続く)